はじめて涙がこぼれた日~観勢寺より感謝を込めて
リニューアルした観勢寺で、間もなく、はじめての夏を迎えます。
お寺の本堂は、そのつくりからしてエアコンというものを取り付けることができず、エアコンがありません。つまり夏は暑く、冬は寒い自然な環境……ではありますが、お参りされる皆さまを冬はあたたかく、夏はすずやかにお迎えするために、暖房器具(石油ストーブ)、冷房器具(扇風機)は欠かせません。
そろそろ扇風機を購入しなければと思っていましたら、ご門徒の方から「どうぞ使ってください」と扇風機のお布施をいただき感激いたしました。ありがとうございました。皆さま、夏の観勢寺にも、ぜひいらしてください。
さて、むし暑いときこそ、少し気分がクールになるかもしれない冬のお話を1つ。
冬の観勢寺でも、朝5時から内陣の清掃、お仏花の手入れ、湯気の立つ御仏飯をご本尊に上げ、半端でない底冷えする本堂で毎日、朝の勤行をしていました。(皆さまも一度、体験してみられませんか。本当に半端でない!)。そんな冬の思い出の中でも、忘れられないできごとが1つあります。
それは富山県に大雪が降った2月のある日の明け方。天井がミシミシと音をたて、やがて「ドドドー」と、いきなり本堂大屋根の雪が音を立てて、なだれ落ちました。
びっくりして、着のみ着のまま外に飛び出ました。みると雪の一部が道路をふさいでいます。これは大変。通勤の車も通れない。薄暗い中、誰もこない事を願いながら除雪をしていると、近所のご婦人が歩いて来られました。
まだ4時前というのに!? どうしよう。するとご婦人は、雪かきする私の横でピタリと止まり、
「アンタ、腰痛めるョ。風邪引くョ」
と、声をかけてくださいました。
こごえる寒さの中、思いがけずいただいた優しい言葉に、私は胸がこみあげて涙がこぼれました。雪かきの疲れも何もかも吹き飛び、笑顔になれました。本当に、ありがとうございました。うれしかったです。
皆様の心とやさしさに支えられて、観勢寺はあります。これまでも、今も、これからも。
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