お寺が消えることが残念な、いちばんの理由

 観勢寺で行事の後片付けをしていると、友人からこんな番組があるよとメールが届きました。それが8月4日(金)NHK番組「ナビゲーション」の「お寺が消えてゆく~困窮にあえぐ過疎地の僧侶たち~」です。

NHK番組「ナビゲーション」でお寺の特集

 この「ナビゲーション」という番組は、毎週金曜日の夜7:30~7:55に放送されています。番組のホームページには、

いち早く、深く、わかりやすく、地域の課題に迫る。 
事件事故から注目のトレンドまで、地域の“気になる”を掘り下げる。
中部地方の社会問題や注目のトレンドを掘り下げる情報番組。
ドキュメンタリーと解説者のトークを交え、真相・背景に迫ります。

と紹介されています。

「愛知、三重、岐阜、静岡、石川、福井、富山向け」と記載されていますので、中部地方以外の方は視聴できないかもしれません。

 気になる8月4日(金)の放送は、「お寺が消えてゆく~困窮にあえぐ過疎地の僧侶たち~」というタイトルがついています。イントロには、

 多くの日本人の心のよりどころとなってきた“寺”。いま、地方で存続の危機に立たされる寺が急増している。急激な過疎化に伴い、檀家が減少。経済的に立ちゆかなくなる寺が増えているのだ。富山県では、寺の収入がなく、生活保護を受ける住職までいることが明らかになった。社会構造の変化に正面から向き合ってこなかった仏教界の対応に問題があった、という指摘もある。人口減少が進む日本社会で、寺はどうあるべきか考える。

と書かれています。

イントロを読むだけで、胸が痛いです。

お寺で説法を聞いて分かったこと

 このブログの最初の記事にも書いてありますが、浄土真宗のお寺は、どのようにして生まれたかという歴史をたどってみると、当時のご門徒の「親鸞聖人の教えを聞きたい」という熱い気持ちからでした。仏教の教えを聞くための場所=聞法道場として建立されてきたのが、浄土真宗のお寺で、それ以外の目的で建てられたお寺はありません。

 お寺で説法を聞いて、そのことが、よーく分かりました。たしかにお寺は天井が高く、独特の建築のため、エアコンをとりつけることができません。それは観勢寺も同じ。冬はストーブ、夏は扇風機でしのいでいます。

が、しかし。

 やはり、お寺は仏法を聞くためにできている、と実感することがあります。それは「説法の聞きやすさ」。音響といい、空間が生み出す独特の居心地といい、「聞く」一つのために設計されていることを、私も体感して知らされました。

もしお寺で教えが説かれ聞けたら

 過疎化や檀家の減少で、お寺が消えてゆくのはやむをえないかもしれません。ただ、教えを聞くために完成された場が消えてゆくことは、たいへん残念に思われます。

 もし、お寺で親鸞聖人の教えが説かれ、聞けたら、「あ、これだよね。お寺って、このために先祖が建てられたんだね」ということだけは、説明されなくても感じられるのではないかと思います。

 番組でどのような打開策が示されるのかは分かりませんが。